プロサッカークラブのスカウトの面白さと責任の重さ

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どのプロサッカークラブにもスカウトと呼ばれるスタッフが在籍しています。
スカウトと呼ばれる方々は一体どのような仕事をしているのか紹介したいと思います。

スカウトと呼ばれるスタッフは、プロサッカー選手の素質を持った人を発掘し、チームに加入させることが仕事です。

具体的には、(多少、誤解を招く表現ですが)大学生や高校生年代の試合会場や練習場に足を運んで、サッカーが上手な選手を探し出します。そして上手な選手と話をして自分のチームに加入してくれないかと説得し、契約を結ぶまでが仕事です。大きく分けると、素質がある人を発掘する業務とチームに加入してくれるように説得する業務です。

素質がある人を発掘する業務は、自分で見つけるパターンと学校などの指導者から紹介があるパターンが存在します。素質がある人を探す際に、どういった基準で探し出すかはチームの戦術にも左右されます。運動量が豊富な走るサッカーをトップチームが戦術としているのであれば、走れる選手または走る素質を持った選手を探すでしょうし、パスサッカーを主体とするならば技術を備えた選手を探すでしょう。

また大学生を獲得する場合と高校生を獲得する場合でも着眼点は異なります。大学生を獲得する場合は、即戦力として戦える選手かどうかという目線で選手を評価します。一方で高校生を獲得する場合は、もちろん即戦力となる選手もいますが、3年程度はチームで育てるつもりで獲得することが多いです。その3年という期間にチームの戦術が変わる場合もあれば、ブレずに戦術が変わらないチームもあることでしょう。そのため長い目で活躍できる可能性を持った選手かどうか見極める必要があります。

他にもチームによりますが、ユースに加入する選手を探すスカウトもいます。有望な中学生を探すのもクラブチームのスカウトの仕事です。

サッカーが上手な選手を探せば良いのか?

Jリーグをはじめ、プロサッカー選手は当然ですがサッカーが上手です。足元が上手くないと呼ばれる選手でも中学生年代では地域で一番うまい選手だったとよく言われます。スカウトの面白さの一つが、すでにサッカーが上手な選手を探すこと以外に、もっと上手くなる素質を持った選手を探すことです。上手な選手はサッカーに詳しい人が見ればわかります。上手くなる素質を持った選手を見極めるのは至難の業です。選手の思考や生活態度などピッチ外で判断していくしかなく、客観的に判断するのは難しいものです。長年の経験がものを言う世界である一方で、選手のDNAなどから導き出せるのではないかと言う研究が進められている分野です。

すでにサッカーが上手な選手や将来上手くなる選手という観点以外に、人間として魅力があるかどうかも大切なポイントです。サッカーはチームスポーツである以上、団体行動ができる選手が理想です。どんなにサッカーが上手くても性格や人間性に難があるとチームに悪影響を与えます。監督の中には荒くれ者と呼ばれる選手を手なずける人もいますが、そういった選手がいない方が良いです。

ネガティブな観点での人間性の判断以外に、強いリーダーシップを持った選手を探すことも大切です。サッカー日本代表のキャプテンとしてイメージされるのは長谷部選手や宮本選手あたりだと思いますが、彼らのような存在がチームにいるかどうかも成績に関わってきます。チームの支柱となる選手は外部のチームから補強するのは難しいため、育てるしかないのが実態です。(これもスカウトの醍醐味ですが)

スカウトとスカウティングの違いは?

スカウトと似た言葉でスカウティングがあります。スカウティングは主に対戦相手のチームを分析する意味合いで使われます。一人の選手をピックアップするのはスカウトで、チーム全体を分析するのがスカウティングです。サッカーを見ることは同じですが、見る対象も異なりますし、見方も違います。

スカウトの仕事は責任重大?

ここまでスカウトの仕事が楽しそうな面を紹介してきました。一方でスカウトはかなり責任重大な仕事でもあります。まず、チームの将来を左右する仕事であることです。将来有望な選手を獲得できれば(ちゃんと育てられるかどうかはまた別ですが)、チームの成績も向上するはずです。有望な選手を多数排出することは経営面でも大きな意味を持ちます。常に外部から多額のお金を払って選手を獲得するスタンスではお金がいくらあっても足りないです。チームのフィロソフィーがしっかりしているクラブは安定した成績を残せます。Jリーグで言えば鹿島アントラーズのようなクラブが該当するでしょう。フィロソフィーがしっかりしているクラブは選手を獲得する際も優位に立てます。指導者も安心して選手を送り出せることでしょう。

チームの成績を左右する以外に責任重大な観点があります。それは一人の人間の人生を左右するということです。高校生の選手を獲得して、その選手が大成すれば良いのですが、必ずしもそうならない時があります。18歳で獲得して、3年で戦力外となった時にその選手がどのチームからも声がかからなかった時に、その選手は第二の人生を歩み出します。普通の21歳と同じだけのチャンスを持っているかと言われると厳しい状況に置かれていることが多いです。18歳の選手の人生を預かる覚悟がないとこの仕事は務まりません。

スカウトになるには?

プロサッカークラブのスカウトの多くは元選手であることが多いです。ただ、必ずしも選手だったことが条件ではないです。色々なチームの指導者と良好な関係を築くことができるかなど人間性は問われます。

スカウトを公募しているクラブは見たことがありません。関係者とのネットワークで構成されている特殊な世界と言えます。選手ではない人は指導者から転身するなど自分なりの道でネットワークを構築して、目指すしかありません。

(参考)
【サッカーに生きる人たち】「ガンバ大阪というクラブを真のビッグクラブにしていく」梶居勝志(ガンバ大阪 強化部長)

鹿島テクニカルスタッフが明かす、「スカウティングの仕事とは?」

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