プロ野球のパシフィック・リーグ(パ・リーグ)における人材採用の変化の波が起きています。
パシフィック・リーグ・マーケティングと呼ばれるパ・リーグ6球団にて共同出資している会社が球団や周辺事業に関する人材紹介サービスを開始しました。
プロ野球界におけるこれまでの人材採用
日本のプロ野球の球団職員は、親会社からの出向者とプロパー社員で構成され、プロパー社員はその球団所属の元選手と縁故採用者に限られ、球団が職員を公募することは皆無というのがかつての姿だった。
公募を実施していながら、球団HPには募集要項を載せず、転職エージェントのサイトのみで募集している球団もある。球団サイトに載せると、1回の募集で若干名の採用枠に、その球団のファンばかり数千人の応募が来てしまうからだ。
球団が必要としているのはファンではなくビジネスマンであり、球団が望むスペックに合わない人の応募も多く、球団側としては対処しきれない。転職エージェントを使っても、ワンクッション置くことはできても、業務内容への理解にはおのずと限界があるという問題があった。
プロ野球に限らずJリーグのクラブにおいても同様の問題は発生しています。
「データ解析の勉強をしている、求人を待っている、経験を積んでいるという主張をしたところで、採用には結び付かない。アウトプットし続けられる人材であることを球団にわからせないとダメ。現時点で球団にできていること、できていないことを知ったうえで、できていないことの中で、自分にはこれができる、自分はこの部分で戦えば人に勝てる、というアピールができないと採用にはなかなか結び付かない」(DELTAの岡田友輔代表)という。求職者数に比べて採用枠は圧倒的に少ないので、就職のハードルはかなり高いことは変わらない。外部人材の活用に積極的かどうかは球団ごとにかなりバラツキがある。
実際に球団に採用される人材というのは、かなりの倍率を勝ち抜いたハイスペックな人材であることが多いです。その一方で記事にも記載されていますが、給料というのはそのスペックに見合うものかというと疑問の状態です。
少しずつその状況は改善されていると思いますが、依然として働く側のモチベーションに依存しているのがスポーツ業界のよくないところでしょう。
そしてハイスペックな人材が球団に増えてくるに連れて発生する問題が、球団内での仕事の出来不出来の差が出てくるようになります。変化の早いIT業界では常に最新の技術をキャッチアップし続けることは当然のことでしたが、スポーツ業界はスポーツそのものの大きな変化はないため、成長や環境の変化に慣れていない方もいます。そうした変化に耐えられる人材と変化を起こす人材たちだけであればよいのですが、残念ながら変化を拒んだり耐えられない方もいます。変化が起きている球団においてそういった方々との大なり小なりのトラブルはよく聞く話です。
プロ野球業界が動き始めた中でサッカー業界やバスケット業界も追随するでしょうか。
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